胆嚢癌・胆嚢ガン・症状・検査・療法

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胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)・症状・検査・療法・分類・生存率



     
概要/胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)


     胆嚢癌は胆管や隣接する肝臓に浸潤し、進行すれば膵臓や十二指腸、周りの太い血管などにも広がってゆき

     ます。胆汁を作り出す肝臓の内部には、多数の細い血管が豊富に巡っていますが、胆汁はこれらの胆管内を

     流れ、の途中にある胆嚢に蓄えられ、この胆汁が十二指腸に流れ込みます。腫瘍が胆道を閉塞、狭窄して胆汁

     が排出されなければ、黄疸が発現します。これらの腫瘍が胆嚢の壁を突き破る様なことになれば、癌細胞が腹腔

     に広がる播種性転移も起こします。腫瘍が血流に乗って広がれば血行性転移を起こします。腹膜播腫していたり

     肝臓に血行性の転移が始まっている、癌の浸潤範囲が広いなどの時は手術適応は無く、化学療法や放射線治

     療が中心の療法となります。胆嚢癌は浸潤し易く、化学療法や放射線療法の効果が高くない、治療の難しい癌

     です。ただ化学療法をする事により、QOLが向上するという報告があります。全身状態がよければ延命効果も

     認められる例も有るようです。





     
§1 胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)


     胆道癌は胆管癌と胆嚢癌に大別されますが、胆嚢癌は早期発見の難しい癌です。それは胆嚢には癌の進展を妨げ

     る粘膜筋板という組織が無く、筋層が薄いため癌が早期のうちに肝臓、胆管、リンパ節に広がって症状が出た時は

     進行していることが多いためです。但し、近年では胆嚢癌は画像診断技術の向上により、比較的早期の段階での

     発見も増えておりますし、腹腔鏡下手術の技術進歩により、胆嚢炎合併胆石症例でも、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行う

     事が可能で、これに伴って術後に癌が発見されるケースも増えております(術前良性腫瘍の診断で、切除される

     胆嚢に癌が合併する頻度は1%程度といわれております)。胆嚢癌は女性に多い癌で、好発年齢は50〜60歳

     代です。切除困難な進行癌として発見される事が多いので予後は一般的に不良の癌です。(前記の様なケースで、

     術前診断により、癌が粘膜内に留まっている様な早期癌の場合には、予後は良好です。)胆嚢は壁が薄いため、

     癌が進行して壁を突き破ると、肝臓やリンパ節を通じて他臓器に転移してしまいます。そのため、胆嚢の摘出は

     腹腔鏡下で行われますが、胆嚢癌の場合は、胆嚢を取り出す際に、胆汁が腹腔内に漏れると転移する可能性が

     あるため、開腹手術が行われます。胆嚢は摘出しても身体に大きな影響は無いと考えられており、入院期間も

     通常1週間程度です。

胆嚢癌は乳頭型、結節型、平坦型、充満

型、塊状型に分類されます。癌が固有筋層

に限局していれば早期胆嚢癌になります。

胆嚢癌の特徴としては胆石を50〜70%

合併する事です。胆嚢癌の危険因子として

膵胆管合流異常という先天的に膵・胆道系

の発生異常があり、括約筋(オッディ)の

影響の及ばない位置で膵管胆道が合流する

ことにより膵液と胆汁の相互逆流が起こり

、その結果胆道や膵臓に様々な病態をもた

らします。胆嚢癌の場合は胆嚢結石があれば

胆嚢癌の発生頻度が高くなると考えられて

            -胆嚢周辺構造図-

おりますので、定期的な検査を経過観察を確実に実施する事が、極めて大切になります。胆石や胆嚢壁の状態を

検査し、胆嚢壁が厚くなったり、異常な隆起あるようなら適切な処置(外科的に胆嚢切除など)を早急にする事が

大切です。(胆嚢癌の術後生存率も御参考にご覧下さい)






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§2 胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)の症状


     胆嚢癌は早期には自覚症状がありません。気が付く端緒は黄疸です。白目、手のひら、口の中の粘膜、皮膚などが

     黄色になるので気が付きますが、胆嚢癌が進行しますと黄疸が現れますが、これは胆嚢癌が進行したために胆管に

     癌が浸潤したためで、この段階になりますと、右脇腹の痛み、体重減少、しこりなどが感じられることがあります。

     [ 胆管癌で閉塞性黄疸を起こした場合;胆管を塞いでしまう閉塞性黄疸を発症すると、更に尿は濃褐色となり、

     胆汁が十二指腸に排出されなくなるため便も灰白色となります。更に、閉塞性黄疸は発熱(胆汁に細菌が感染)、

     悪寒を伴ったりします。閉塞性黄疸が長引けば、細菌が血液中に入り敗血症や時にショック症状(心肺機能低下

     など生命に危険を生じる状態もある)に陥り、緊急を要する事態となります。]重複になりますが、胆嚢癌は胆石を

     合併する頻度が高く(合併率は50〜70%/別資料では70%以上といわれています。)膵、胆管合流異常(特に

     胆管拡張のないもの)に高率に合併する事も知られております。






     
§3 胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)の発症


     胆嚢癌で胆石を併発している人は50〜70%といわれ、比較的高齢者に多いのですが、結石の種類としては

     ビリルビン結石よりコレステロール結石の人に多く発生するため関連があるのではないかと考えられております。

     また、先天的に膵管と胆管の合流部に異常のある人がおり、この様な方は胆道癌の発生率が高いことも分かって

     おります。この合流異常が膵液を胆管に逆流させてしまいます。結果、胆管の粘膜が侵され、癌になりやすいと

     考えられております。(* 重要事項のため、何度も重複しております)




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§4 胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)の検査


     胆嚢癌では胆嚢壁の状態や隆起の大きさ、形状、肝臓への浸潤の程度を診断します。内視鏡超音波検査法(EUS)

     は胃や十二指腸内からの腸内ガスの影響を受けずに胆嚢の診断ができます。黄疸が無くても経皮経肝胆管造影や

     内視鏡的逆行性膵胆管造影による胆道の検査を行います。胆嚢癌の診断が困難な場合は胆嚢に細い針を刺し造影

     剤を注入して撮影する、内視鏡で胆嚢内の組織の一部を採取して生検を行うなどして確認をします。





     
§4−1 血液生化学検査/胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)


     胆嚢癌には特徴的な所見はありませんが、進行癌で肝胆道系酵素の上昇や腫瘍マーカーの上昇を認める場合が

     あります。(CEACA19-9





     
§4−2 画像診断/胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)


     
§4−2−1 超音波検査/胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)


     超音波検査は安全で、非侵襲的であり、簡便です。発見には有効な手段とされ、胆嚢癌は腫瘤像、胆嚢壁の不整

     な肥厚として描出されますが、20mm以下の隆起性病変では、コレステロールポリープや腺筋腫症、腺腫の鑑別が

     重要になります。

な肥厚として描出されますが、20mm以下の隆起

性病変では、コレステロールポリープや腺筋腫症

、腺腫の鑑別が重要になります。一方、20oを

越える隆起性病変は、ほぼ胆嚢癌という事になり

ます。進行癌の場合には、肝浸潤の有無が診断可

能なケースもあります。その他カラードップラー

法による血流信号の検出も、癌の診断に有効であ

り、また、超音波内視鏡検査(EUS)は、体外

式超音波検査により高分解能であり、良性隆起性

疾患の鑑別や、壁深達度診断に非常に有効とされ

ます。





     
§4−2−2 その他の画像診断/胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)


     
腹部CTやMRIは腫瘍の診断だけではなく、進展度の診断に有用で、肝、消化管、血管への直接浸潤や、肝、

     リンパ節への転移も有無の診断も可能です。ERCPは胆嚢内腫瘤像の確認や、胆管圧排像、直接浸潤の有無を

     診断できます。MRCPはERCPより非侵襲的でその使用範囲は拡大しています。血管造影検査で、胆嚢動脈壁

     の不整・屈曲蛇行像や腫瘍濃染像を認める時には、胆嚢癌を疑うとされております。





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§5 胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)の療法


     胆嚢癌では早期に肝臓、胆管、リンパ節に進展するので内視鏡的な手術よりも開腹手術の方がセーフティですが、

     胆嚢癌の場合は良性の胆嚢ポリープとの区別が難しいために、胆道ファイバースコープでポリープを内視鏡的に

     切除し取り残しがあれば、開腹手術することも選択肢としてはあるでしょう。基本的な術式は胆嚢・胆管及び、肝床部

     切除+リンパ節郭清(肝十二指腸間膜内と膵頭部周囲)です。早期癌が明確に特定されれば、胆摘術(全層)+リン

     パ節郭清で充分とされます。進行癌では、症例ごとに広範な肝切除・膵頭十二指腸切除などが考えられます。切除

     不能であればバイパス手術などが選択されます。抗癌剤はゲムシタビン単独か、ゲムシタビンを含む抗癌剤を用い

     る事が多いようです。



     * 
多剤併用療法など/ゲムシタビンカペシタビンフルオロウラシルマイトマイシンドキソルビシン

     ゲムシタビンゲムシタビンオキサリプラチン





     
§6 胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)の分類



     
§6−1 TNM分類/胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)

T 原発腫瘍
 Tx 原発腫瘍の評価が不可能
 T0 原発腫瘍を認めない
 Tis 上皮内癌
 T1 粘膜固有層又は筋層に浸潤する腫瘍
  T1a 粘膜固有層に浸潤する腫瘍
  T1b 筋層に浸潤する腫瘍
 T2 筋層周囲結合組織に浸潤するが、漿膜を超えた進展や肝への進展のない腫瘍
 T3 漿膜(臓側腹腔)面に露出するか又は1つの隣接臓器に直接浸潤、あるいは両方に浸潤する腫瘍(肝への進展は2p以下)
 T4 肝へ2pを超えて進展及び/又は2つ以上の隣接臓器(胃、十二指腸、結腸、膵、肝外胆管、肝への浸潤)へ進展する腫瘍
N 所属リンパ節
 Nx 所属リンパ節転移の評価が不可能
 N0 所属リンパ節転移なし
 N1 胆嚢管、総胆管周囲、及び/又は肝門リンパ節への転移(肝十二指腸間膜内)
 N2 膵周囲(頭部のみ)、十二指腸周囲、門脈周囲、腹腔及び/又は上腸間膜動脈(根部)リンパ節へ転移
M 遠隔転移
 Mx 遠隔転移の評価が不可能
 M0 遠隔転移なし
 M1 遠隔転移あり




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§6−2 病期分類/胆嚢癌(胆嚢ガン・胆嚢がん)

0期 Tis N0 M0
T期 T1 N0 M0
U期 T2 N0 M0
V期 T1 N1 M0
T2 N1 M0
T3 N0、N1 M0
WA期 T4 N0、N1 M0
WB期 Tに関係なく N2 M0
T、Nに関係なく M1

                                                             
by UICC





     
§7 生存率/胆嚢癌(胆嚢ガン・)


     胆嚢癌の術後生存率は1年生存率25% 3年生存率12% 5年生存率10%程度と厳しい癌です。(別資料

     によりますと、全体の切除率は75%で、5年生存率は40%とありました。)早期癌で、脈管侵襲、神経浸潤、

     リンパ節転移が非常に少ない場合は、5年生存率ほぼ100%とあります。







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